BEYOND THE EMBRACE「INSECT SONG」

マサチューセッツ州出身のトリプル・ギターを擁する6人組メロディック・デス・メタルバンドの2ndアルバム。もはやメロデスとは定義できないほどノーマル声を多用して、イエテボリ系のメロデスサウンドを基調にしながら正統派ヨーロピアン・メタルの要素をより強く打ち出して来ています。一方で重厚なスクリームを聴いていると、アメリカ産ならではの、ハードコア勢からの影響も少し感じたりも。しかし音はほぼ100%伝統的な正統派メタルと言い切ってしまってよいと思います。アメリカ産ならではのメロディに関する煮え切らなさは全く感じられません。

前作はほんとうにギター3人いるの?と思ってしまったりと、若干音が薄く、トリプルギターという武器を生かしきらないややしょぼなアレンジが残念だったわけですが、今作は随所でトリプルギターでしか出来得ないギターの使い方をしているパートが増えています。(またそれが素人でもわかるくらいちゃんと音が分離しているんですね)あとは、Voの成長が著しいかと思いました。ノーマル声、デス声(北欧メロデス風だったりハードコア風だったり)を自在に大きさを変えながら器用に操ることができるこのVoのおかげで、正統派とイエテボリ系のメロデスをクロスオーバーしたところに高いレベルで音楽性を保てているのではないかと思いました。同様な変化を見せ、心境著しいDARK AGEの日本盤が出るなら、こちらもいつ日本盤が出てもおかしくない好盤です。